かえろう

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「怖いし……」 ふと、床に寝転がった。 空が蒼い。 雲一つない。 こんな時に何故天気が良いんだろう…… 雨でも降っていれば良かった…。 青空。 私はそれを見て泣いた。 母が死んでから、初めて泣いた。 悲しくて悲しくて悔しくて寂しくて。 涙が次から次へと溢れた。 ハンカチを持っていなかったから、たれ流しだ。 それから時間が経った。 私はすっかり泣き止んでいた。 心に穴は空いていたけれど。 「帰ろうかな…」 母が死んだ。 親がいない。それなら国が保護してくれるだろう。 彼氏はどうでも良い。 さよなら、お幸せに。 「よし…帰ろう……」 起きると、涙でコンクリートに染みが二カ所出来ていた。 「家に帰って……詳しいこと、聞かなきゃ……」 思えば何が死因なのかは分からない。 取り敢えず、帰ろう。 帰った先に何が待ち受けているのか それは分からないけど。 全てを、真実を知らなくては。 雲の無い青空に太陽が燦々と輝いていた。 END.
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