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大都市の中の暗く、深い闇の中……。
迫り来る闇を消そうとするように、たくさんの明かりが灯っている。
平日の真夜中。
零時を過ぎているというのに、そこは人だかり。
真昼に歩いている者はそこにはいない。
ネオンの中にいる人間は夜の世界に住まう人々。
その色とりどりのネオンの裏側にある古ぼけた建物、アパート。
長い階段を上った一室。
夜闇程では無いがそこは暗く、少量の光が照らすのは手元と自分達の姿。
その後ろには浅く、闇が広がっている。
「私の声、聞こえる?」
闇に沿う、静かな女の声。
「聞こえますよ」
対照的に雰囲気にそぐわぬ高めの幼い男、僕の声。
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