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━ピリリリリリ!
朝の日差しが射し始めた部屋に、目覚まし時計の音がけたたましく鳴り響く。
するとベッドの布団がもぞもぞと動き、中から黒髪の少年が顔を出した。
「…む~…」
彼はまだ目が覚めきっていない様子で、閉じかけた瞳で騒音の元凶を見つけると、気だるげ手を伸ばした。
と、その手がスイッチに触れようとした矢先、不意に横から伸びてきた手が目覚まし時計の音を絶った。
「おはようございます。マイマスター、聖斗(せいと)様」
同時、穏やかな女性の声が降ってきた。
「…?」
不思議に思った少年、聖斗は伸びてきた手をたどり、やがて1人の女性の姿を視界に収める。
日本人のような外人のような、そんな中世的な顔立ちをした彼女は、聖斗よりほんの少し年上といった感じだ。
光加減によっては紫にも見える黒色のロングヘアーはスラリと腰まで伸び、アメジストのような瞳がこちらを見ている。
存分にフリルをあしらった白黒のエプロンドレスにヘッドドレスという俗に言うメイド衣装に身を包んだ彼女は、そこにいるだけでかなりのインパクトを他人に与えるだろうが、ここ半月の間に聖斗はすっかりその姿に馴染んでいた。
「…ルナか…おはよう。今何時?」
「朝の7時です、マスター」
ルナと呼ばれた少女は穏やかに微笑んで主人でもある少年の問いに答えた。
「…まだ7時かよ…あ~、あと10分だけ寝かせてくれ…」
そう言うと聖斗は再び布団をかぶりなおそうとする。
しかしルナはそんな彼の手を掴んで止めた。
「だ、ダメです!マスターは今日から学校という場所に行くのでしょう?
遅刻をしてマスターが厳罰を受けるなんて私、耐えられません!」
「あのな…」
ゴロリと寝返りを打つ聖斗。
「別に遅刻したから拷問になるとか死刑になるとか危ない業者さんに売られるとかいうわけじゃないぞ…ただ教師から説教を受けるだけだ」
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