PHAS.1:混迷の日常

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「え、そうなんですか?」 きょとんとするルナ。 「おう。…だからあと10分寝かせて…」 そう言って再び布団をかぶりなおそうとする聖斗。 だが、またしてもルナがその手を掴む。 「いいえ、ダメです。 マスターがこの時間に起きるって言うから合わせて朝ご飯も作っちゃったんです。 今食べないとせっかくのお料理が冷めてしまいます」 しかし、聖斗も譲る気がしない。 「飯よりも睡眠が優先だって… 不安定な覚醒のまま学校になんて行ったら登校中に車に跳ねられて死ねるぞ」 「…つまり、完全にマスターを覚醒させれば良いのですね」 そう言うとルナは一息ついた後、握っていた聖斗の手を自らの豊満な胸に押し当てた。 メイド服の上からでもそれが雄大な山脈だと主張するような胸を掴まされた聖斗はたまらず跳ね起きる。 「お、おま!い、いい一体何を!?」 「マスターの意識の覚醒を促したんです。 男の方はこうすると喜んで頭が冴えると【いんたーねっと】に書いてありましたので」 「どこの有害サイトだソレはあぁ!?」 絶叫する聖斗の手をルナはより強く握り締める。 「どうですかマスター?私だってちゃんとマスターが喜んでくれるように勉強しているんですよ?」 「喜ぶの意味が違う気が…」 かといって間違ってもいないのだが… 「なんでしたら、このままシてしまいますか? 最も、マスターが望めば、の話しですけれど…」 そう言いながらもルナはその美しい顔を聖斗に近づけてくる。 「お、おい!本気か!?」 聖斗の問いかけには答えず、ついにルナは聖斗にしなだれかかった。 そして、2人の唇が重なろうとした瞬間、 バタン! と凄い音がして部屋の扉が開いた。 同時、学校の制服を纏った1人のツインテール少女が部屋に突入してくる。 「おっはよーセイちゃん!迎えに来たよー!!」 満面の笑みを浮かべる彼女。しかし、その大きな眼差しが聖斗とルナを移した瞬間、少女は凍りついた。そして間をおくこと数秒、 「何やってるのアンタ達はーーー!?」 朝の清々しさが消え失せた室内に、少女の絶叫がこだました。
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