PHAS.1:混迷の日常

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     ◆◆◆ 「で!!これはどういうことか説明してくれるんでしょうね!?」 来栖家の食卓に座った乱入少女は自分の向かい側に座るルナを指差して、同じ学校の制服に着替えた聖斗を睨みつけた。 「初対面の人を指差すなよ… 彼女はルナテミリスさんって言って、オヤジの古い知り合い。オヤジを訪ねて日本に来たらしいんだけど、オヤジはほら、4年前に死んじまったしさ。 その事を話したらしばらくうちを手伝ってくれるって事になってな」 「ルナテミリスだと呼びにくいと思うので、ルナとお呼びください」 そう言ってルナは穏やかな笑みを七海に向けた。 「で、ルナ。こいつは二階堂 七海(にかいどうななみ)って言って俺の幼なじみ」 聖斗が説明するとルナはあぁ、と小さく頷いた。 「いつもマスターがお世話になっております」 その言葉に七海はピクリと眉を動かした。 「…マスター?」 「はい。聖斗様は私のマスターですが何か?」 ふーん、とわざとらしい声を出す七海。 「で、セイちゃん?」 「…何だよ?」 「これ、どういうプレイなワケ?」 「はっ?」 質問の意味がわからず聖斗が首を傾げると、七海が勢いよく立ち上がりそのまままくし立てる。 「だっておかしいじゃない!マスターって直訳したら【ご主人様】でしょ!? しかもルナさんメイドの格好してるしどう考えたってそういうプレイじゃない! ハッ、まさかセイちゃん外国の女の子だからって日本の文化に疎いことを利用してパーフェクトメイドに調教しようなんて考えてるんじゃ… そうよ、いずれ朝昼晩の3食ならぬ3ご奉仕をさせるつもりなのね!?」 「七海さんに邪魔されなければ朝のご奉仕が出来たんですけれどねぇ…」 ルナは片手を頬に当ててさも残念そうに言う。 「ちょっ、ルナ!何言ってるんだよ!!」 「だって本当のことですよ?私はマスターにご奉仕したかったのに…」 それを聞いた七海は唖然とした顔をしてよろめいた。 「な…まさかセイちゃんがそんな事をしているなんて…半月も休学してるから何をしていたのかと思えば、不潔だわ!!」
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