デミス

10/16
前へ
/22ページ
次へ
「世界を……壊すー!!」 目の前の男が言った言葉に、さらに希は驚愕で目を見開いた。 しかし、それ以上に言い知れぬ悪寒が少女の体を駆け巡った。 「な…に、言って……」 「あ?もしかして、俺言葉間違えた??『世界を壊す=地上の滅亡』って言ったんだけど。それとも、ちゃんと話聞いてた??」 再び希の顔を覗き込みながら、紅蓮は再度問う。 「あの…それって、どういうー」 ``意味``そう聞くよりも早く、 「言葉通りの意味さ。地上の全てを終わりへと導く。全てを破壊し、無へと帰すんだ」 さも当然のように答えた。 それはまるで、明日の天気を言うように、何てことのない会話をするぐらいの気軽さで。 「な、なんで…」 意味が分かっても、理由が分からない。 何故そんなことをするんだ。 希の頭は疑問でいっぱいだった。 そして、やはりその考えも見透かしているのだろう。 「なんでって、なんで??それこそ愚問ってやつだろう。お前は地上の現状を知らねぇのか?地上人のくせに」 はっ、と人を小馬鹿にしたように鼻で笑う紅蓮。 どうにもこの男は、喜怒哀楽が激しいというか、考えていることや感情が、顔に出やすいようだ。 ムッとしつつも、希は詳細を説明するよう促した。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加