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炎を生み出した手でありながら、それはとても冷たくて、そして心地よかった。
希は、不思議と心が軽くなるのを感じた。
つくづく、目の前にいる男が不思議に思えて仕方がない。
そして、紅蓮は唄うように説明を始めた。
「使徒。それは神聖なる目的のために献身する人の例え」
「アダムは第一の使徒。神によって創造された人類の祖先。第一の使徒」
綺麗な声を夜空に響かせながら、男は続ける。
「ノア、それは神によって選ばれた人類の生き残り。第二の使徒。そしてーーー」
男は一度、言葉を区切った。
「この二つの存在に続くのがデミス。これは俺達が名付けた、新しい世界を創り出す第三の使徒を差す名だ」
優しく語りかける紅蓮。
何故だか、希の頭の中に紅蓮の言った言葉がすんなりと入ってきた。
「ここに来ている天界人は、そのデミスを選ぶためにやって来た。選べるのは、一人につき一人のデミス。まぁ、ある条件を満たしていることが絶対条件だがな」
「条件??」
「そう。『この世界に絶望を抱いた』かつ『死にたがっている』人間さ」
ニコリ、と笑顔を浮かべて紅蓮は説明を終えた。
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