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「きょ…うりょ…く……」
「んあ??」
「貴方、さっき言ってましたよね。目的のために、協力、してほしい、って…」
「ああ、言ったぜ。ちゃんと覚えててくれてたんだな」
「それって、わたし…が…」
「ああ。俺はお前を、俺の``デミス``として選んだ。一、天界人としてな」
「でも、いくら私が死にたがっているからって!なんで!!どうしてっ??」
紅蓮は、一瞬困り顔を浮かべた。
しかしそれもすぐに消え失せ、その細く長い指で希の顎を掴むと、自身の顔と向き合わせた。
「確かに、条件を満たす人間はお前以外にもいる。だがな、俺はお前『で』良いんじゃなくて、お前『が』良いんだよ。これでも人を見る眼はある。お前は使徒として相応しい素質を持ってる。ラグナロクで殺るなんて、もったいないことできっかよ」
紅蓮は自身の顔を希に近付けた。
二人の距離は互いの鼻が、頬が、触れ合うぐらい狭まっていた。
「生きるために与えられた命。自殺とは、それを自ら捨てるということ。その罪は、果てしなく深く重い」
「お前は、その罪がどれほどのモノか、よぉく分かってるんだろ。だからこそ、少しでもそれ以上死にたいと思わないように、周囲を自分を騙しながら生きているんじゃないのか??」
紅蓮の吐息が顔にかかり、希の視界は紅蓮で埋めつくされていた。
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