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「うん。後は着替えて、時間になるのを待つだけ」
クローゼットから制服を取り出し、着替えようとする希。
紅蓮は先ほどと変わらず、寛いでいる。
「あの…。私これから着替えるんだけど」
部屋を出る様子のない紅蓮に、戸惑いながら尋ねる。
「うん。見れば分かるね。で??」
顔を上げるが、しかし部屋から出て行こうとはしない紅蓮。
「いや、だから…。部屋から出て行ってもらえません??」
「なんで??」
恥ずかしがる希に対し、平然としている紅蓮。
「いや、あの……」
「安心しろ。お前の体になんざ、これっぽっちも興味ねぇよ」
しかしそう言いながら、希に近付くと腰に手を回す紅蓮。
ゆっくりと体を撫で回すその行動は、先ほどの発言と大きく矛盾していた。
「ヒィィ!!い、言ってる事とやってる事、全っ然違うじゃないですかぁ!!!」
「いや、一応確認を。ん~、にしてもお前結構良い体してんなぁ。やっぱ前言撤回!!」
必死に逃げようともガッシリと腰を掴まれていて、身動きがとれない。
昨晩の出来事が脳裏をよぎった。
(い、いやぁ~~!!)
男の人にそんなことを言われたこともなければ、ましてや体を触られたこともなかった希は、恥ずかしさと怒りで全身が熱くなるのを感じた。
「ぃ、良い加減にしろ…こんの、ド変態がぁああ!!!」
生まれて初めて受けたセクハラに、怒りは収まることを知らず、勢いよく希は目の前の男を殴った。
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