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「見ぃつけた。俺のデミス」
XX99年10月、日が沈み、夜が迫って来た頃。
とあるビルの屋上に立つ青年が、眼下の街を眺めながら呟いた。
真っ黒なスーツ。真っ黒なブーツ。はめている手袋も、被っているシルクハットも真っ黒で、夜の闇に溶けてしまいそうな格好をしている。
唯一ハットから覗く赤色の髪が、まるで闇に浮かぶ炎のようで、一種の不気味さを醸し出していた。
その男の赤い双眸は、地上を歩く1人の人間をずっと追いかけている。
ビルの高さから考えれば動く自動車すら豆粒程度でしかないのに、その男はまるですぐ側で見ているかのように、正確に舐め尽くすように見つめていた。
「さぁ、行こうか。闇とともにーー」
そう呟くと、男は消えていなくなった。
真っ白に輝く月が、男がいた場所を淡く照らしていた。
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