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バッシィィイン!!!
良い音を立てながら紅蓮は大きく後ろに飛び、ベッドの角に勢いよく頭をぶつけた。
「ってぇー。お前なぁ、んな怒んなって………にしてもこの威力、能力は打撃系か??」
涙目で希に訴えかける紅蓮には、反省の色が伺えない。
「も、元はと言えば、そっちに非があるんでしょ!!(今、能力って言わなかった??)」
顔どころか全身を真っ赤にさせながら怒る希に、紅蓮はますますからかいたくなったが、それ以上やると本当にいろいろ危ないので、仕方なく部屋から出ることにした。
「はぁ……。き、緊張した」
紅蓮が部屋から出たのを確認すると、希はその場にへたりこんでしまった。
「ビックリ……したな」
希は右手を見つめながら、ポツリと呟く。
紅蓮を強く殴ってしまったことに、多少驚いたりはした。
避けられると思っていたから。
しかしそれ以上に、昨日まではなかった自分の力に驚いていた。
「いつの間に、こんなに力付いたんだろ??ううん。これは……きっと神変」
(たぶん、私の持ってるデミスとしての能力と何か関係があるんだ)
誰もいない部屋で少女は一人考えていた。
あれほど騒いでいたにもかかわらず、一階から人が来る様子はなかった。
「……着替えよう」
考えることを放棄し、部屋に置かれた姿見の前に立てば、静かに右腕に触れる。
その二の腕には、昨日まではなかった、あるあざがあった。
それは各辺の中央を凹ませた菱形のようなもので、それらが右腕を囲むようにして存在していた。
それを撫で付けながら、希は昨日の夜のことを思い出していた。
``契約``を結び、家に帰ってからのことだ。
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