4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「え…。浮いてる??」
あまりに非現実なその光景に、希はただ立ち尽くすしかなかった。
よくよく考えてみれば、自分の感情を言い当てられたり、突然ビルの屋上に居たり、と訳の分からない事が立て続けに起こっているのだが、そんなことがどうでもよくなるくらい、希は混乱していた。
ポカンと口を開けたまま、惚(ほう)けた顔で見つめてくる少女に耐え切れなくなったのか、男は声を大にしながら、希の前に舞い降りた。
「ハハッ!!そんな顔するなよ。すっごいウケるんだけど。あーでも、``人``は空を歩けないから仕方ないか」
笑いながら、希の顔を覗き込む若い男。
そして、未だ状況が飲み込めていない希の頬を軽く引っ張るのだった。
「ひゃ!!にゃひすりゅんでしゅか!!!」
(訳:きゃ!!何するんですか!!!)
頬を引っ張られているため、上手く喋れない希。
男は希が反応を示した事に満足したのか、手を離した。
「あ、あのぅ…。ここは…というか、貴方は一体??」
顔を触られたことが恥ずかしいのか、ほんのりと顔を赤くしながら、希は尋ねた。
男は口端を上げると、
「俺の名は``紅蓮(ぐれん)``天界人だ」
そう自己紹介した。
そして男は、
「天界人ってのは、その名の通り天界に住んでる人間のこと。逆にお前らのような地上に住む人間を地上人もしくは単に人って、俺達は呼んでる。」
「あ、どこに天界があるのかって質問はなしな。説明するの難しいから俺やなんだよ」
笑顔でまくし立ててるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!