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「てんかい…じん」
聞き慣れない単語に、希は眉をしかめた。
男ー紅蓮ーは、そんな希の反応を予想していたと言いたげに微笑むと、右手を空高く伸ばした。
するとーー、
ボウッ
紅蓮の右手を包み込むように、炎が突如現れた。
それは赤く、紅く、朱い、全てを飲み込むほどアカい炎だった。
「俺達天界人は、一人一人ある能力を持っている。俺の場合は、こんな感じに炎を操る力だな」
右手を緩やかに動かせば、それに呼応するように煌めく炎。
月明りに照らされ、それはきらきらと輝いた。
「ま、いきなりそう言われて『はい、そうですか』って納得するバカはいねぇ。とりあえず、俺がお前のようなのとは違う種類の人間だと思ってくれればいい」
炎を消し、柔和な笑みを浮かべながら男は言う。
「こっからが、本題だ。重要かつ危険な話だから、よぉ~く聞くんだぜ」
口調は明るいが、それには有無を言わせぬ威圧感があった。
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