トリス

197/211
前へ
/409ページ
次へ
実家の田んぼの真ん中にバイパス道路が通る計画があり 20年経って それが完成した 土地の買い上げ代金を 新しい家の建築に当てた かって名家と村で一目を置かれた俺の実家は 父の代になり 皆に抜かされてしまった 同級生の家が新築されるたびに 小学生の俺はいたたまれなかった 村では、ぼろい旧家となってしまったのだ 一歩一歩 近づくにつれて マッチ箱の ような見慣れた家が見えてきた 2階建ての 祖父と祖母が住んでいた 離れの家 黄緑色にペンキで塗られているのは 小学生の俺が塗らされたものだ
/409ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加