合わない死体

1/1
前へ
/58ページ
次へ

合わない死体

ある学校の授業でのことだ。 当日は、予報を大きくはずして快晴だった。 あるクラスは、その日は何かの実験で、理科室で授業が行われた。 ところが、運悪く、ガスが漏れていたのか薬品がこぼれていたのか… 理科室は爆発し、生徒達も巻き込んで、一切合切こなみじんにしてしまった。 後日、事故現場を片付けている最中に、いくらかの骨や肉片が見つかった。 それらを丁寧に運び出し、体育館に並べていくと…そう、教室にいた分だけの 白骨死体と、余り物が完成するわけである。 生徒は全員が過去に歯科治療を受けており、歯形から確認できる限り全員分の 身元を確認することが出来た。 何人かは顔が残っていたので問題はなかった。 ところが、全く奇怪なことだが、どうも数が合わない。 生徒は39人で、教師が一人。 遺体は全部で41体、子供が40で大人が一。 子供が一人多い… 近所で行方不明になった子供はいないし、他のクラスも人数が合っている。 検察官の一人が首を傾げている様子を見ると、他の検察官が唐突に叫んだ。 「なんだ、数が合っているじゃないか!」 翌日は、予報どおりの雨であった。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1844人が本棚に入れています
本棚に追加