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僕は教室に戻るよ」
言って僕はその場を後にした。
放課後になった。その瞬間、妹が大泣きしながらやって来た。
「お兄様から頂いたお金を石崎さんに盗られてしまいましたわ!」
「そう。それで、石崎さんは今どうしてるの?」
「先に帰りましたわ」
それを聴いた僕は、携帯電話を取り出して聡美に掛ける。
数回のコール音が鳴り、相手が出る。
「あの、立花だけど、大事な話しがあるから、学校の裏の空き地で待っててくれないかな? ……いや、違うけど。兎に角、そこに居て欲しいんだ。頼むね」
僕は通話を終了して電話を仕舞った。
「美野理、空き地に行くよ」
「石崎さんを懲らしめるのですね?」
「そういうこと」
僕たちは、学校を後にすると、裏に回って空き地に入った。しかし、聡美はまだ来ていなかった。
「お兄様、一つ気になることがありますわ」
「…………?」
僕は妹の言葉に疑問符を浮かべた。
「どうして石崎さんの電話番号を知ってるのですか?」
「えっ? ああ、それは……」
と、その時だ。聡美が私服姿で現れた。
「あら、先に来てたの? で、話しって何?」
「5万円、美野理から盗ったよね?」
返して、そう付け足そうとしたところで、「もう無い」と、聡美が口を開いた。
「巫座戯んな!」
キレた僕は、聡美の顔面を殴……ろうとしたが、不思議なことに彼女の姿が忽然と消えた。そして、同時に頭部に衝撃。
「うっ!」
僕は呻き声を上げ、腹這いに倒れた。
その直後、聡美が頭の付近に着地した。
「あんた、私に喧嘩売ってんの?」
「売ってる」
その言葉に聡美が僕の頭を踏もうとした。
僕は咄嗟に横へ転がって立ち上がった。
「君の実力は見きったよ。僕も本気で行く」
言って僕は聡美の懐へ一瞬で駆けた。
「なっ!?」
聡美が慌てて腕を伸ばす。
僕はそれをすり抜けて聡美の眼前に移動。彼女を宙に蹴り上げた。
聡美は空中で体勢を立て直して巧く着地。そして直ぐに反撃をしてきた。
僕は避ける間もなく、飛び蹴りを食らって転がった。
「お兄様!?」
「このくらいでくたばる僕じゃないさ」
僕は立ち上がって次の攻撃をかわして足払いを掛けた。
仰向けになる聡美。
そこへ僕が、ジャンプして腹に着地する。
「うっ!」
呻き声を上げる聡美。
「5万──いや、10万か。貯めて返してくれる?」
「嫌よ」
「そう。じゃ仕方ないね」
その時、白煙が立ち込め、同時に聡美
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