卑怯的告白

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が妹に変化し、そして美野理が彼女になる。 「お兄様、重いですわ」 「えっ?」  僕の頭に疑問符が浮かんだ。 「身代わりの術よ」 「身代わり?」  聡美に顔を向けて首を傾げる僕。 「そう。私の家は代々から伝わる忍びでね、私はその末裔なの。それより、早く退いてあげたら?」 「えっ?」  僕は足元を見た。すると、美野理がとても辛そうな顔をしていた。  慌てて退く僕。 「ごめんね、美野理」 「べ、別に謝らなくてもいいですわ」美野理が起き上がり様に言った。「それよりも、あの女を早く懲らしめてほしいですわ」  それを聞いた聡美はクスクスと笑った。 「私を懲らしめる? どうして」 「君が妹から喝上げしたからだよ」 「何であんたが答えんのよ!?」  言って聡美が飛び蹴りを放った。 「うわっ!」  攻撃をまともに食らった僕は尻餅を着いてしまった。 「私は美野理に訊いてるの。あんたは黙っててちょうだい」 「お兄様……」  美野理が泣きそうな目で僕を見詰める。 「石崎さん」 「何よ?」  振り返る聡美。その瞬間、僕は彼女を殴り飛ばした。 「きゃっ!」  地面を転がった聡美は、数メートル先で立ち上がって僕の懐へ駆ける。  僕は聡美の攻撃をかわして後ろに回り、左腕を首に巻き付けた。 「財布、持ってるよね? 出して」  聡美は渋々と財布を取り出した。  僕はそれを奪い取ると、美野理の手元に投げた。 「その中に盗られた分も入ってる筈だから、抜いちゃって」  その言葉に応えて、美野理は中から福沢 諭吉を数枚ほど取り出し、財布を僕に投げた。  聡美は僕がキャッチしたその財布を取ろうと手を伸ばした。  僕は財布を退かして言う。 「人のものは盗らないって約束してくれる?」 「するわ。だから返して」 はい──と、僕は財布を渡した。  聡美は財布を仕舞いながら言った。 「私ね、自分より強い人が好きなの。あんたはその類に入るわ」 どうお?──そう続ける聡美。「私と付き合わない?」 「……嫌」 「何でよ!?」 「君みたいな不良少女と付き合う気は毛頭ない」 「そう……」  聡美は拘束から素早く脱出し、僕の睾丸(こうがん)を蹴り上げた。  激痛が金玉に走り、意識を失い掛けた僕はその場に倒れた。 「喧嘩は強いのにソコは弱いんだ?」  聡美がそう言って不適に微笑む。 「ところで、気持ちは変わらないまま?」 「あ、当たり前だ──っ!」  そう叫ぶと、僕は聡美に股間を踏み潰され
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