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今回、
凪が受けた命はツナへの接触。
近付き、沢田綱吉という人間を理解すること。
ボンゴレの次期ボスという器は、のっとるのはかなり厄介なものだ。
隙をついても、ボンゴレに継がれる超直感で気付かれれば簡単に防がれるだろう。
そこで、理解者を置くのだ。
彼を理解し、支える、その存在に頼らなければいられない程の理解者に。
彼の信頼を、心を預けられる存在に。
彼の一番近くにいて、違和感のない存在に。
そしてそこから生まれる絶対的な隙を作り上げることで、彼を、彼の地位を奪うという骸の計画が実行されるのだ。
その密やかな計画の為、凪はツナの家への招待に迷う事無く応じた。
凪がツナを理解せずとも、凪の見た情報で骸は沢田綱吉を解釈する案を出しているので、凪はツナに関する沢山の情報を得ようと試みた。
「ボスは、遅くまで何をしてたの?」
髑髏の謝罪から急に零れた言葉にツナはえ、と困ったように頭を掻いた。
「何って、えっと…居残りで、補習………ははっ、俺、ダメツナだから勉強もダメダメでさ」
この、冗談の通じない少女相手に気まずくなるのは避けたかったツナはなんとか会話を保つことで、空気が重くならないよう努めた。
「ダメツナ…?」
耳慣れない単語に首を傾げた髑髏に、ツナは捕捉する。
「ああ、ダメツナっていうのは、ダメな綱吉っていう俺のあだ名?みたいなもののことで…勉強も運動も、何でも。何やらせてもダメなヤツだっていうことでそう呼ばれるんだ」
笑って言ったものの、自分の言葉に軽く凹んだツナは会話を諦めようとした。
だが、髑髏が口を開く。
「…ダメなんかじゃない…」
ぽそりと、今にも消え入りそうな声だった。
今度はツナが首を傾げて髑髏の方へ向く。
髑髏ははっきりと、言葉を紡ぎだす。
「ボスはダメなんかじゃない。皆を守ってくれた。戦ってくれた。…私を信じて戦わせてくれた。…だから、ダメなんかじゃない」
あの、ヴァリアーとのリング争奪戦の時の話だろう。
言い終えた髑髏はツナに向き直る。
ツナはなんだか、恥ずかしくなって、なんて返したらいいか戸惑って、でも嬉しさが込み上げて、やっとの思いで笑った。
「………ありがとう」
その照れた笑みは日溜まりのようだと、髑髏は思った。
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