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―――骸様が望むなら、
私は、何だってする。
「ごちそうさまでした」
「はい、御粗末さまでした」
髑髏が箸を置き、手を合わせた。
ツナの母である奈々はおっとりした声でほほ笑みかける。
ツナの家に着いた髑髏は、奈々に促され泊まることまで決まった。
黒曜ランドまで送る勇気がなかったツナはそこまで考えていなかったようで、慌てて、
「俺が連れてきといて、なんか、その…ごめんね」
と、困ったように笑いながら謝った。
髑髏も特に考えてはいなかったが、流れとはいえ好都合なことなのだとまとめ込み、泊まることを有り難く承諾した。
人の手料理というものを久しぶりに味わった髑髏は、このにぎやかな食卓に自分達の場合を重ねて見ていた。
ツナと、奈々、リボーンにビアンキ、フゥ太、ランボ、イーピン…
こんなに大勢で楽しそうな雰囲気はなく、対照的で。
犬が一方的にまくしたてたり騒いだりはするが、千種も髑髏も無口な方なので楽しそう、とはいえない。
「そういえば髑髏ちゃん」
思考にのめり込んでいた髑髏に、ふと思い立ったような奈々の声がかかる。
そちらの方に顔を向けると奈々は続ける。
「下着はどうする?」
お茶を飲んでいたツナが、思い切りむせた。
「服はツっくんのでちょうどよさそうだけど、…私のなんて若い子にはあれだし、ビアンキちゃんのじゃちょっと大人っぽすぎるかしら」
困ったように首を傾げる奈々にビアンキが席を立ち近づいてくる。
「あなた、カップは?」
堂々とした質問にもはやツナは耳を塞いでいた。
髑髏は二人に寄り、耳元でこそっと囁く。
「大丈夫よママン。私のを調節すれば着れるわ」
「最近の若い娘って発育がいいのねぇ」
感心した奈々の、のんびりした調子の声にツナは顔まで伏せていた。
小さく唸って誤魔化してるが、聞こえていたらしい。耳まで真っ赤だ。
(母さん、息子の前でそんな話は犯罪的だよーーー)
「まだまだ青いな」
ふっと、嘲笑うリボーンにツナはやけくそ気味に叫んだ。
「ほっとけ!ってか、読心術使うなー!!」
ツナは思う。
どうせなら三人で、こっそり話してほしかったと。
息子の心、母知らず。
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