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「直人くんに抱きしめられるのも、これで二回目」
咲羅は笑った。
「嫌・・・??」
「・・・ううん。暖かい。」
降り積もる雪を見つめながら、しばらく直人は咲羅を離さなかった。
「智瀬が・・・羨ましい。」
直人はふと、つぶやいた。
「何で?」
不思議そうに咲羅は尋ねる。
「自分の想いのままに、行動できるから・・・」
「素直に思ったことを言葉にできるだろ、あいつは。」
咲羅は智瀬からの毎日の愛のメールを思い出した。
「妬けるよ、あいつに。」
「直人くん・・・」
「言ったもんがちだろ?言葉に出した方がダイレクトに相手に伝わる。」
「・・・悔しいよ。俺だってこんなに好きなのに・・・」
咲羅を抱きしめる直人の腕にいっそう力が入る。
「そんなこと、ない。直人くんの気持ち・・・ちゃんと届いてるよ。」
「だけど、応えられない・・・?」
軽く頷く咲羅に直人は悲しそうな表情を見せた。
恋は理屈じゃない・・・
恋人として最適な相手が目の前にいたとしても、好きになるとは限らない。
咲羅にとって今まさに直人はそういう存在だった。
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