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「俺・・・辞めるよ」
突然、智瀬が言った言葉に咲羅は驚いた。
「え・・・っ」
隣に寝転ぶ咲羅の頭を優しく撫でて、続けた。
「ホストの仕事、辞める。」
「・・・でも」
「俺が嫌なんだ。咲羅にこれ以上辛い思いさせるの・・・」
「・・・でも」
「他の女に触ったり、キスすんのだって嫌だし・・・」
「・・・でも」
「何、さっきから『でも』ばっかり・・・」
「だっ・・・だって」
「嬉しくないの?」
「嬉しい・・・けど」
「辞めるよ。もう決めた。」
そう言って咲羅の頬にキスをした。
智瀬の意思はもう固まっていた。
『ホストを辞める』
それは智瀬が今まで生きてきた世界から立ち去ること・・・
最大の決断だった・・・
そして、
その決断によってこれから自分の身に起こることをこの時の智瀬はまだ想像もしていなかった。
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