裁き

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「こっちに寄って。」 少し離れた所に座る咲羅に智瀬が自分の横を手で示しながらいった。 「何で。」 「キスするから。」 「やっ・・・やだ・・・」 咲羅は顔を赤くした。 「何で。キスしたい。」 「今はダメ・・・」 「いつならいいの?」 「・・・さぁ?」 「うわ。何、それ。」 「だって・・・」 「うん?」 「智瀬くんのキスは・・・やらしいんだもん・・・」 「誰のキスはやらしくないの?」 「う・・・知らないけど・・・」 咲羅は当然、智瀬のするキスしか知らなかった。 「俺のキスに味をしめたら、もう他の男のキスじゃ足りなくなるよ。」 智瀬は勝ち誇ったかのように言った。 「すっごい自信・・・」 咲羅は呆れた。 「咲羅は俺のキスしか知らなくていいんだよ。」 ゆっくり智瀬は近づく。 慌てる咲羅の腕を掴むと、強引に引き寄せた。 「やだって・・・」 「俺のキスは極上だろ?」 そう言うと咲羅にキスをした。優しく、ついばむようなキスだった。 「はっ・・・」 甘く漏れる咲羅の吐息に智瀬は引き寄せられていく。 何度も繰り返される甘い、キス・・・ 「や・・・っ」 「『イイ』の間違いだろ?」 とろんとなった咲羅の瞳をいたずらに覗き込む。 次の瞬間、 智瀬は咲羅のバスローブに手をかけた。 はっとした咲羅は智瀬を突き放した。 「~~っ。どさくさに紛れて何する気っ?」 「ちっ・・・」 「もう!!さっき、したばかりでしょ。あたしの身体が持ちません!!」 「咲羅がやらしい顔するからだろ。」 「しっしてないっ!!」 「してた。」 「バカ!!」 咲羅の心臓は限界だった。『初めて』を経験したことで、高鳴る胸は張り裂けそうになっていた。 そして、目の前で無邪気に笑う智瀬を心から好きだと実感していた・・・ そして、智瀬は自分の鼓動が早まる心臓に酔いしれていた。今までのどんなセックスよりも、満たされていく自分の心を実感していた・・・。
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