嫉妬

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仕事を終え、咲羅は海に来ていた。 雪の降る海・・・。 当然のように辺りには誰もいない。 じっと海を見つめる咲羅の横には、 直人の姿があった。 直人に誘われ、二人は海へ来ていた。 「二度目だね・・・。ここに咲羅ちゃんと来るのは。」 「そうだね。あたしはもう数えきれないくらい、来てるよ。」 「どうして海が好きなの?」 尋ねる直人に咲羅は少し悲しそうな表情を見せて言った。 「お父さんとお母さんが居るから・・・」 咲羅の両親は3年前、飛行機の墜落事故で亡くなっていた。 墜落したのは、海だった。必死の捜索の結果、両親の遺体は見つからなかった。 咲羅は今も海の底に眠る両親に会いに、度々海を訪れていたのだ。 「辛く・・ないの?海を見たら思いだすでしょ?」 「・・・大丈夫。もう涙は枯れたから。」 その言葉には、 悲しみを乗り越えて来たという咲羅の思いがつまっているように直人には感じた。 「それに、海は唯一二人に会える場所だもん。」 そう言って笑みを浮かべた。そう笑う咲羅を直人は黙って抱きしめた。自然と腕に力が入る。
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