黒ずくめ

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「すみませんが…」 声をかけられた。 少女の体がびくっと跳ねた。 「そちらのお嬢様を渡してもらえますか?」 お嬢様と呼ばれた少女を見ると、 ガタガタガタ… 震えていた。 なぜかマモラナキャ、マモラナクテハ。と脳で繰り返された。 「……わしを渡すのか…」 僕は黒いスーツの、そいつにいった。 「この子の名前はなんですか??」 黒いやつは言った。 「質問の意味がわかりかねますが。」 大きな声でいった。 「この子の名前は何ですか??」 「…お嬢様はお嬢様で、ございますが。」 「分かりました。」 ビクッ… 少女が震えた。 「では、お嬢様をこちらに。」 僕は少女を後ろに引っ張った。 「!?」 「何をなさるのですか?」 「僕が分かったのは!お前らがクズってことだ!!」 「この子の名前も知らないで!何が渡してくれだっ!」 スーツはため息をつくと、 「こちらも丁寧に頼んでいるのですが。」 「断る」 「では、仕方ありませんね。強行手段に移らせていただきます。」 少女は 「やめるんじゃい!死んでしまうぞ!」 と黒いやつのところにいこうとした。 しかし止めると、 「いいよ。かかってこい。」 「!?」 スーツはニタッを笑うと言った。 「ヒッヒッあなたみたいに勇気のある人間は称賛に値しますね。安心して下さい。あなたが死んだら実験台として使ってさしあげますから。」 「……」 「ああ、そうそう。ワタクシはお嬢様の名前を知らないのではなく、お嬢様に名前がないのでございますヒッヒッ。」 僕は怒りがMAXになった。 道具と同じ、 いや道具にも名前はある。 道具以下ということか。 「ではいきますよ?ヒヒ」 僕は 僕は 少女を連れて逃げた。
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