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シャオは家から飛び出し、まっすぐに広場へ向かった。
広場の中央に生える老木、そこがシャオの最近のお気に入りの場所。
朝食が終わると、ここに来て幹に凭れながら、本を読んだり空を眺めたり、居眠りをして夕方まで過ごすのが日課になっていた。
シャオは着くなり老木に抱きつき
「君、花咲くんだね。ぼく昨日の夜、見ちゃったよ。嬉しかった~。お母さんから君はもう何十年も前から、花を咲かせてないって聞いてたから。」
興奮を抑えられない、といった様子でシャオは老木に話しかけた。
「いつ咲いたのか、全然気付かなかったよ。蕾も見つけられなかったし。でも良い香りだね~、甘くてホッとする…」
シャオは話しかけている途中で、老木の根元で丸くなり眠ってしまった。そよぐ風が、囁く枝がシャオを包んでいく。
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