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あれから、数ヶ月が経った夏の日。
弘樹との3度目のデート。
弘樹はバイト先の先輩だった。
数週間前に突然告白され、戸惑いながらも付き合うことを承諾した。
けれど、面白くて優しい弘樹は、一緒にいて飽きることがなかった。
私は次第に、誠実でひたむきな弘樹に惹かれていた。
「弘樹。」
前を歩いた弘樹を私は呼び止めた。
「ん?」
程よく日に焼けた健康的な弘樹の横顔が、こっちを振り返る。
「私、弘樹のこと好きになったみたい。」
それを聞いたときの、弘樹の笑顔が夏の太陽に照らされて眩しかった。
それでも、その満面の笑みは私の脳裏に妬きついた。
「飲み物買ってくるから、ここで待っていて。」
弘樹に促されるまま、側にあったベンチに座る。
弘樹は私が座ったのを振り返ってもう一度確かめると、飲み物を買いに走って行った。
跳ねるような足取りで軽快に走っていく弘樹を見ていると、こそばゆいような満ち満ちた気分になった。
ふと思い立って、弘樹を待つ間、私はメールを打った。
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