第四章~文化祭と転校生~

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「だからどうした?」 精一杯強がってはみたものの、やはり足の震えは止まらず、そんな自分に苛立ちを覚えた。 「ふん、馬鹿は死ななきゃ直らないか?」 彼女を丁寧に横たえ、あいつが余裕の表情を浮かべる。 「オラァ、死ね!」 左から拳が飛んできた。 僕はぶざまにもまともに喰らい、膝をついてしまった。 口の中が切れ、血の味が広がる。 「ほらほら、どうした、反撃してこいよ! それとも怖くて出来ないか?」 さらに腹に蹴りをかましてきた。 僕は呻き、ぶざまに地面にたたき付けられた。 「え? どうなんだ、町村君?」 髪の毛を引っ張られ、顔を持ち上げられる。 頭は痛みで半ば麻痺していた。 屈辱に顔を歪めていると、あることに気づいた。 震えが……、止まってる。 「ん? もうギブアップ?」 拳を握り締め、けらけらと笑うあいつの顔面に、とりあえず一発ぶち込んだ。 「なっ?」 相手は驚いたらしく、手を離した。 身体が熱い。 先程とは違うリズムで心臓が高鳴っている。 ……やれる。 僕は怒り狂って向かってきた相手に再び拳を繰り出した。
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