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耳朶には、きらきら。
痺れる様な痛みの中に、きらきら。
小さな鏡を覗き込んで、そっと、それに触れた。
赤く火照る肌にはまだ似合わないこのきらきらが、私に似合う日が来るのが、胸が弾けそうなくらい、嬉しい。
溜まらずに、サクラを振り返る。
鏡を手に、甘い匂いのグロスを塗り直していた。
黒髪には赤が似合う、と言い張るサクラの唇は、柔らかなレッド。
私には似合わない赤が、確かに似合っていた。
「これ? ジューシーチューブの17番」
にやりと微笑う赤を、覚えておこうと思った。
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