#1 Mと高宗

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* * * 「あ、高宗くん」 「……牧野」 土曜日のショッピングモールで女子に声を掛けられ、ぶっきらぼうに返事をしたのは、コウ。 私のオサナナジミのタカムネくん。 「偶然だねっ。 ……彼女?」 「そんな訳ないだろ。 アンタ可笑しいよ」 「そっかぁ……えへ」 ……えへ、じゃないだろう、女子よ。 コウの知り合いらしきこの女は、とんだドMらしい。 私なら「アンタ可笑しいよ」なんて言われたら、引っ掻く。首の後ろとか。 「へぇ、幼なじみなんだぁ」 「ん」 「いいなぁ、私幼なじみとか……」 「俺達これから飯食いに行くから。 じゃあね、牧野」 「え、あ」 会話を早々に切り上げられて、目を白黒させている女子を後目に、コウは私に顎を小さく動かすことで合図すると、その場を立ち去ろうと踵を返した。
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