26人が本棚に入れています
本棚に追加
回れ、右。の様に、コウに倣って女子に背を向けるも、何となく気になって、肩越しに彼女を振り返ってみた。
じっ、と私達を見つめる、小麦色の頬をした少女。
すっきりとした黒いアイラインに、綺麗にセパレートしたストレートの付け睫が可愛らしい彼女の目は、判りやすい程につり上がり、私への怒りや嫉妬があからさまに浮かんでいた。
「……そんなんじゃないのになぁ」
出来るだけ小さな声で呟いたつもりだったが、コウには聞こえていたらしい。
振り向いた横顔の、薄い唇が震えた。
「何が」
その問い掛けに私は薄く微笑ってみせてから、
「んーん」
やんわりと。否定。
最初のコメントを投稿しよう!