#0 prologue

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 * * * 「マキさ、ピアス、開けてみない?」 仲間の中ではかなり大人びていた、サクラが、そう口を開いたのがきっかけだった。 サクラはストレートの長い黒髪と、椎名林檎みたいな顎の黒子が印象的で、やっぱり眉は細かったけれど頭は良く、仲間内では先生受けも良い方。 だけど3つ上の彼氏がどうしようもないダメ男で、その男が金を強請るせいで、時々援助交際と洒落込んだりする子だった。 そんなサクラから、ピアスのお誘い。 「何でよ」 と尋ねれば、 「何となく」 と、来た。 そんなに適当な理由では、こちらが正攻法でも、さらりとかわされてしまう。 だからと言っていやだいやだと駄々をこねても、頭が良い上に口も上手いサクラがその気になれば、簡単に丸め込まれてしまう。 それに。 「……良いよ」 私は『ワル』に、なりたかった。
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