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ハヤトは一昨日の夜からずっとイラついていた。
理由は、ハヤトの家族が、小夜という人の為に朝から墓の方に弁当持って行く、とはしゃいでいたからだ。
特に妹の二人は、はしゃぎだすとあのかん高い声で騒ぐため、こちらは煩くてかなわない。
別に墓で弁当を食べたり騒いだりするのは沖縄の風習なので気にはしていないのだが。
そうでなくても自分はあの家族でかやの外なのに。
なによりハヤトの苦手なハジという人も来るというのだ。
ハヤトはあのハジという人が、一番苦手だった。
隙が無く、態度もどこか達観していた。
なにより歳の離れたカイと、自分より少し歳上のハジが親しげに話すのには、とても違和感があった。
「おい、ハヤト。お前一昨日ナハ高のやつらしめたんだって。」
ハヤトは、行くつもりのなかった『お祭り』から逃げてきたあと、同級生のショウの部屋に泊まらせてもらっていた。
こいつとは、一番気が合う友達で、相談もたまにしたことがあるほどだ。
「ああ。路上で派手に遊びまくってて、うざかったからこっちから仕掛けた。」
ハヤトはショウの漫画本を借りて読みながら、何事も無いように言った。
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