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その二人の目元は腫れて紫になっていて、口元は切れて赤くなっていた。
「弱いだけだろ。」
「なんだと!!」
ハヤトが呟くと、案の定ナハ高の一人が殴りかかってきた。
それを素早く避けるのと同時に、腕を掴んでそのまま地面に叩きつけた。
地面にもろに叩きつけられた彼は、苦しそうにあえぐ。
「てめえ!!」
それを見たもう一人の長身の生徒の攻撃は、ハヤトに届く前に止まった。
ハヤトが彼より早く、みぞおちに足蹴りをくらわせたからだ。
彼もその場に蹲ると、うめいた。
ハヤトはその二人を見下ろす。
ハヤトは幼い頃から柔道を習っていた為、それなりの攻撃は遅く見えた。
しかし喧嘩をする以外で、柔道の有り難さを感じたことはなかった。
ハヤトは残りの三人に向き直る。
二人は怪我をしている為、ハヤトの勝利は目前だった。
「くそ!」
唯一怪我をしていない生徒が、漁師が網にでもかかっていて捨てたのだろう流木を手に取ると、ハヤトに向かって大きく振り上げた。
ハヤトにとって軽く避ける程度の攻撃だった。
「!?」
しかし、ハヤトの足は動かなかった。
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