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歌が聞こえる…
悲しいくて切ないような…それでいてどこか楽しそうな…
いったい誰…?
あれは…
「響…?」
ハヤトは自分の声で目が覚めた。
「…目が覚めましたか。具合はどうですか。」
ハヤトは声の位置を確認して、そちらに視線を向けた。
「…ハジっつ!」
「大丈夫ですか。」
ハヤトは起き上がろうとして、体の痛みに声を上げた。
慌ててハジが助けようとするのをハヤトは手で制す。
そうだ、俺はナハ高のやつらと喧嘩して…
「お前…助けてくれたのか…ありがとな。」
思いがけない言葉に、ハジは自分の耳を疑った。
暫く呆然としているハジを見て、やっぱり恥ずかしくなったのか、ハヤトは途端にハジに冷たくあたる。
「てかお前、通りかかったとか嘘だろ。こんな場所に普通、人なんか通らねえんだよ。」
ハヤトは未だに、ハジがこの港を通りかかったという自体を理解しかねていた。
「いえ、本当に通りかかっただけで」
「なんでだよ。」
ハヤトがムスッとしてハジを睨みつけた。
「あれを小夜の元へ置きに行こうとしてたのです。」
ハジが指し示した方をハヤトがつられて見ると、そこには鮮やかなピンク色の薔薇が一輪置いてあった。
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