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沖縄。コザ市。
人や街は変わるが、この空だけは15年前と一つも変わらない。
ハジはふとそんなことを考えた。
小夜が休眠期に入ってから15年の月日が経った。
ハジ自身はシュヴァリエということもあり何も変わらないが、カイや奏や響を見ると15年という時間はとても長い。
そして小夜はあと15年は目覚めない。
ハジの一つに束ねてある髪を沖縄の風が撫でる。
沖縄の風を感じられるように、ハジは小夜の存在も無意識のうちに感じることができた。
だから寂しいと思うことはない。
何より小夜が、そう思っているから。
ハジは空が明るくなってきているのに気づく。
チェロケースを肩に担いで一蹴りし、目の前のビルに着地する。
そしてもう一蹴り。
ハジが目指す場所は、小夜の眠る『始まりの場所』
「お、ハジ来たか。」
カイはハジが優雅に着地するのを確認してから、大袈裟な態度で迎えた。
今思うと、カイは本当に成長した。
初めて会ったときのカイはまるで、全てが敵のように敵意をむき出しで…
いや、あれは小夜を守る為だったのかもしれない。
『兵器』と言われた小夜の悲しむ顔を見たから、カイは小夜を守る為にあの態度をとったのだろう。
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