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「さっきから居たのに。失礼な人。」
彼女は後ろで手を組むと、顎をふいと反らした。
「そうなのか…」
ハヤトは内心首を傾げながらも、彼女の言葉に頷いた。
ハヤトはもう一度確認するように、彼女を上から下まで見た。
彼女の肌は白く、傷一つ付いていないようだ。まるで産まれたばかりの赤ちゃんのように輝いていた。
その肌は寒さを感じないのか、彼女はワンピースでも平然としている。
そしてなによりその髪の色。
暗い為か黒だと思われた髪は、よく見ると紫色という有り得ない色をしていた。
しかし初対面の人間に質問ばかりするのも躊躇われ、ハヤトは迷っていた。
と、そこでハヤトは気付いた。
「お前!さっきの化物のこと知ってるのか!?」
そうだ。
確かに彼女はハヤトの呟きに対して答えた。
翼手だと。
「翼手って、なんなんだ?」
ハヤトは彼女の答えも聞かず、今一番知りたいことを尋ねた。
「なにって…翼手でしょ?」
彼女は何を言っているか分からないような表情をする。
「だ、だから、それがなんなのかをだな」
そこまで言って、彼女は突然上を仰いだ。
ハヤトも知らず上を仰ぐ。
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