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そう言って微笑むアルフは、眼鏡を翼手化していない左手で軽く上へずらした。
幼い頃のシュダからは想像できないくらい自身のある態度をとっていて、正直ハジはまだ信じられなかった。
なにより彼は、普通に長男として家族と暮らしていた筈なのに。それがなぜシュヴァリエになったのだろう。
「アルフ、貴方はなぜシュヴァリエに。」
「決まっています。」
アルフは眉を寄せ、汚物でも見ているかの様な表情を見せた。
これがあのシュダなんて。
ハジは未だにシュダという臆病な人物と、アルフという見下す態度のこの人物を分けていた。
「まあ、君には分からないだろうね…。」
ハジはアルフの表情を見逃さなかった。
「ハジ。今日はこんなことを話しに来たわけではないんですよ。」
アルフは大袈裟に手を広げると、再び作り笑いをした。
「小夜の居場所を教えて下さい。」
ハジはその質問には態度で答えた。
アルフは突然の攻撃に面をくらいながらも、しっかりと受け止めていた。
そしてアルフの灰色の右手は、奇妙な動きをした。
元の刃とは違う所から違う刃が突き出したのだ。
「ぐはっ!」
その初めての攻撃にハジは腹部に風穴を開けられ、跪をつく。
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