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翼手がこちらに気付き、足に力を込める。
次の瞬間、ハジと翼手は空中で交錯した。
ハジは翼手の両手をその一瞬、見事に掴む。そしてそのまま地面に背中から叩き付けた。
ハジはすぐに翼手から離れて間合いを取り、構えた。
これだけで翼手は殺せない。
殺すには、小夜の血が必要になる。
そこでハジは、ジュリアから預かった対翼手用の、ある特殊なナイフを取り出した。
翼手が起き上がり、こちらを確認する。
ハジはナイフの刺さりやすい目を狙い、ナイフを放った。
「「グオォォ!」」
翼手は痛みにうめく。
ナイフは見事、吸い込まれるようにして翼手の目に突き刺さったのだ。
そして…
「「グウオオオオオォォォ!!」」
翼手は更に一際大きく咆哮した。
ナイフの中にいれてあった、小夜の血を研究して作り上げた液体が翼手の体内に入り込み、翼手の内側から結晶化が起こった。
翼手は全てが固体化すると、やがてその欠片が風に舞っていく。
「…。」
人間は遂に翼手を殺す力を持ってしまったのか。
ハジは、一度深く目をつむり、そして再びアルフを探し始める。
ハジが時間がかかると思われたアルフの捜索は、それほどかからなった。
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