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アルフと少女が見え、そしてハヤトまでいた。
ハジは近くの建物からその状況を見守る。
アルフが少女に恭しく手を差し出し、少女は自分の細い手をそれに重ねた。
あの少女はいったい何者だ。
シュヴァリエであるアルフが、その少女の存在を受け入れていることは、ハジにとって謎だった。
不意にハジは驚愕した。
彼女の瞳が淡く輝いているのだ。
まるで小夜や、ディーヴァのように…。
ハジは両足と右手に力を込めると、建物を蹴り、アルフと少女が立つ場所へ切り込んだ。
アルフはその素早さで、ハジとは逆側の建物に、少女を抱え飛び立った。
「ハジ!?」
ハジの後ろで、戸惑いを隠せないハヤトの叫びが聞こえた。
ハジは突然ハヤトに向きを変えると、後頭部を叩き、失神させる。
「すみませんハヤト。しかしまだあなたには…」
ハジは、既に気を失っているハヤトに謝罪した。
彼にはまだ、全てを知る用意が出来ていない。
翼手や、シュヴァリエ。
そして妹たちの生きる道が、彼にどれほどの混乱を招くのだろうか。
ハジはハヤトを建物の横に座らせてから、アルフを仰いだ。
「アルフ。その少女は何者ですか。」
ハジは短刀直入に尋ねた。
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