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アルフはしかし、目を閉じただけで、返答をしようとはしなかった。
その代わり、少女が答えた。
「私の名前は、リンメイよ。サヤのシュヴァリエ。」
ハジは小夜の名を聞いた途端に、鋭い目で少女を睨み付けた。
「なぜ小夜の名を知っているのですか。」
ハジは殺気を隠そうとはせずに、しかし丁寧に尋ねる。
ハジの推測が正しければ、小夜にとって、とても危険な存在になるからだ。
「知り合いだからよ。小夜と、ディーヴァのね。」
リンメイは楽しそうに笑う。
「でも、彼女たちは私のことなんて覚えてないでしょうね。」
リンメイは途端に、その両目を怪しく光らせ、ハジを圧倒した。
「リンメイ。今は…」
そんなリンメイを見て、アルフが眉を寄せながらなだめる。
「分かってるわ。」
リンメイが踵を返す。
「ハジ。小夜を目覚めさせなさい。」
ハジはしかし、返答をすることが出来なかった。
本来始祖の為なら命をも落とせるシュヴァリエが、リンメイに圧倒させられ、動物としての本能が恐れを抱いていたからだ。
それほどにリンメイという少女は、異質だった。
「彼女が目覚めれば、私は正面から闘うわ。」
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