『始まりの場所』

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「お久しぶりです、カイさん。そして奏さん響さん。」 「お前、なんでここに。」 カイは動揺を隠さずにジャックに歩み寄る。 ジャックはにこりと母親譲りの笑みを作る。 「母さんが、小夜さんの状態の診察をしておきたいとのことで、私もつい付いて来てしまいました。父さんは残念ながら仕事で忙しくて来れませんでしたが。」 ジャックは、14年前に産まれたデヴィッドとジュリアの息子だ。 研究があるため暫く『赤い盾』のほうで生活していたのだが、近年翼手薬について研究も捗り、ジュリアにも余裕ができたのだろう。 ジャックはそこまで話し終えると、ふいに後ろを振り返る。 「それと、OMOROへ行く途中で暴力行為があったため、止めに入ったのですが…」 カイは石段の方から来る人物に唖然とした。 「ハヤトさんだったので、ちょうど良かったので一緒に来ました。」 ハヤトは「ちっ」とポケットに手を突っ込んだまま舌打ちをした。 「ハヤト、ジャックに負けたんだ。」 響はハヤトをからかうと、ハヤトは相手にしていないという風に視線を反らした。 ジャックは『赤い盾』に既に正式な所属もしている為、それなりの訓練は受けている。
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