『始まりの場所』

7/8
前へ
/79ページ
次へ
それにしても体格の差があるこの二人で、4つ離れているジャックに負けるのは、ハヤトにとってとても屈辱だろう。 「ま、まあ二人とも座れよ。」 カイがお弁当の広げてあるシートを指し示すと、ジャックはにこりと笑う。 「はい。お言葉に甘えさせてもらいます。」 ハジは席を譲りながらハヤトのほうを見る。 髪は完全に茶髪で、耳にピアスを付けているのも見えた。 そして、今の今まで喧嘩をしていただろう生々しい傷が顔に出来ていた。 何より無愛想な顔。 カイよりたちが悪いかもしれない。 それにしても、よくここまで大人しく来たものだ。 「それにしても皆さんなぜここへ?」 ジャックは、カイからウーロン茶を受け取りながら尋ねる。 「ああ。今年は小夜が眠りについて15年なんだ。特に意味はないが…まあ無事に眠りから覚めることを願って、朝からお祭りでもしようと思ってな。」 そうなのだ。 そしてハジもカイに呼ばれていた為に、ここへ来た。 「なるほど。では私もご一緒しても構いませんか?」 ジャックは微笑んだ。 ジャックの瞳の色や容姿は、デヴィッド譲りだった。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

337人が本棚に入れています
本棚に追加