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「優斗、ご飯できたわよ。」
ちょうど天井にボールがぶつかったところで、母さんが部屋に入ってきた。
「まったく、ノックくらいしろよ。」
と言って俺は体を起こした。
ボールはベッドの上で一度弾んだ。
「優斗、今度の学校でも部活とかやったりしないの?」
ボールに目をやりながら母さんは俺に聞いた。
「・・・迷ってるんだ。」ベッドから落ちてトントンと静かに跳ねたボールは、そのまま転がって勢いを失った。
「何に迷ってるの?好きなんでしょ?バスケ。好きな事なら、どんな形でも関わっていたいはずじゃないかしら?」
そう言った母さんの目は、いつになく真剣で澄んでいた。
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