幸せな涙

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町は正月に向けて、賑わっている。 「おらほのもちはうめぇぞ。」 「おらほんとこはサンマの開きだ。うめぇぞ。」 賑やかは店を横目にぼろくて小さな魚屋に入った。 「いらっしゃい。」 いつも小さな女の子が店番をしていて、元気な声でヨソーユキーを楽しい気持ちにさせてくれるお店だった。 どーゆーことだか、今日はあの女の子がいない。 店の軒に座っている、いしのように動かない老婆に聞いてみた。 「サエちゃんかい、サエちゃんは、引越したよ。」 「お店の売上が悪くてね、でも1人だけいつも買ってくれるお客さんがいるから頑張るって言って、無理をしていたんだがね。この手紙を渡してくれって頼まれたのさ。」 手紙には、ぐちゃぐちゃの字で、ヨソーユキーへと書いてあった。 ヨソーユキーは手紙を受け取ると、中をそっと声にだして読んだ。
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