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リィンは走り続けようやく地上への出口にたどり着いた。
思ったより道のりは長く時間がかかってしまった。
外へ出たリィンがまず目にした物は、至る所に倒れる盗賊達とその中心に佇む濃紺のマントだった。
「…………驚いた。この短時間でこんなに…………」
百人近くいるだろうか、盗賊達は尽く倒されていた。
しかし急がねば百人では済まなくなる。
「ディザスター!!無事なの!?」
リィンが駆け寄るとディザスターは振り返る。
「戻ったか。セシリアは居なかったのか?」
リィンが一人で戻って来た事に訝しみ聞いてくる。
リィンはアジト内であった事を掻い摘んで話した。
「魔族クローレか…………その上千人殺しが帰って来るか……」
「急いでここから離れなきゃ!!」
ディザスターは再びリィンに背を向け渓谷の出口を見据える。
「その必要は無い」
焦る様子もなく、尚も佇むディザスターに苛立ちながらもリィンはディザスターの視線を追って渓谷の先を見る。
「!!…………あれは!!」
その先には砂煙を上げながら走る馬が数十頭、しかしその後ろにも多く続いているのだろう。
「どうやら、既に遅かったようだな」
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