邪教

4/29
前へ
/351ページ
次へ
リィンは走り続けようやく地上への出口にたどり着いた。 思ったより道のりは長く時間がかかってしまった。 外へ出たリィンがまず目にした物は、至る所に倒れる盗賊達とその中心に佇む濃紺のマントだった。 「…………驚いた。この短時間でこんなに…………」 百人近くいるだろうか、盗賊達は尽く倒されていた。 しかし急がねば百人では済まなくなる。 「ディザスター!!無事なの!?」 リィンが駆け寄るとディザスターは振り返る。 「戻ったか。セシリアは居なかったのか?」 リィンが一人で戻って来た事に訝しみ聞いてくる。 リィンはアジト内であった事を掻い摘んで話した。 「魔族クローレか…………その上千人殺しが帰って来るか……」 「急いでここから離れなきゃ!!」 ディザスターは再びリィンに背を向け渓谷の出口を見据える。 「その必要は無い」 焦る様子もなく、尚も佇むディザスターに苛立ちながらもリィンはディザスターの視線を追って渓谷の先を見る。 「!!…………あれは!!」 その先には砂煙を上げながら走る馬が数十頭、しかしその後ろにも多く続いているのだろう。 「どうやら、既に遅かったようだな」
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1313人が本棚に入れています
本棚に追加