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やがて馬から降りて戦闘体勢に入る者達が出て来た。
中には馬上から弓や槍を構えている者達。
流石に戦闘に関して素人ではない。
集団での戦闘に慣れているのだろう。
その盗賊達の先頭に一際目立つ巨大なバトルアクスを肩に担ぎ馬で走り続ける男がいる。
短い黒髪は天を向き、厚い革のベストからは鍛え上げられた腕が伸び、肌は浅黒く焼けている。
口髭を生やした顔は正に悪者だ。
「やれやれ…………いかにもな奴が来たわね」
リィンは軽い口調で言うが内心穏やかではない。
逃げ道は既に断たれた。
残る道は崖を登るしかないが、登っている最中に弓矢で狙い撃ちにされるのが落ちだろう。
「ここは一旦アジトの中まで引き返しましょ。狭い通路の中なら一度に全員相手しなくて済むわ」
しかしこの案は言い換えると順番に全員相手にしなくてはならない事を意味する。
圧倒的不利に変わりはない。
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