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一瞬の出来事だった。
正に目にも止まらない速さだった。
その一瞬の間に何が起きたのか理解できた者はいなかっただろう。
それは攻撃を受けたジャミル本人も同じだ。
ディザスターの剣が雷光を発したと思ったら次の瞬間にはジャミルの動きは止まっていた。
振り上げられた斧は再び地に刺さる事はなく、ジャミルは斧を振り上げたまま全身無数の箇所から血飛沫を吹き上げた。
ジャミルの意識は既になくゆっくりと前のめりに傾くと、その巨躯は地に伏した。
相手の全身を滅多切りにする程の斬撃。
一体何回剣を振ったのだろうか。
この光景を遠目に見ていた配下の盗賊達にはその一太刀すら目で追う事は出来なかった。
盗賊達は自分達の頭が何故倒れたのか理解出来ずにまごついていた。
司令塔を失い不可解な出来事を目の当たりにした盗賊達は完全に混乱していた。
こうなってしまっては数が多いだけの只の烏合の衆。
もはやディザスターの敵ではない。
「さぁ、送り狼は出さないぜ」
戦場に再び災厄が舞い降りた。
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