影の手帳

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 被害者の高木は、正午ぐらいに土産屋の店主の黒嶋 昌士(くろしま まさし)にアポを取って、A山に自分の車で向かった。  その高木を、自首したB社の社長である藤原 斗真(ふじわら とうま)。  彼が、ナイフをひそめて、殺すタイミングをはかりつつ尾行していた。  A山に着いた高木は、土産屋に行った。  が、黒嶋に後4時間で業務が終わるから待っててくれと言われたので待つことにした。  彼は記事を読めば分かるが、粘りっこい性格で、目標を達するまでは信念を曲げなかった。  3時間程経ってから土産屋に食べ物とお茶を買いに行った。  パンを3つ買ったのは、いくら待たされるか分からなかったからだろう。  閉店時刻前になったので、店に行こうとしたら黒嶋が丁度トイレから店に戻っているところだった。  黒嶋は、トイレに行って仕掛けを施していたのだ。黒嶋も高木を見つけて、店に連れ込み、話をした。  一時間程で話を終えた高木は、帰ろうとした。  しかし、トイレに行きたくなったので、トイレで流してから帰る事にした。  もしかしたら、話の途中で黒嶋が高木に下剤入りのお茶を勧めたのかもしれない。  トイレに入ると、個室は一つしか空いてなかった。  いたずらだろうかと思いつつ、空いた個室に入って用を足した。  そして、いざ出ようと鍵を開けた時、黒嶋の仕掛けが動いた。  注射器が天井に仕掛けられた発射機から発射され、高木の背中に鋭い痛みが走る。  注射器は、高木の背中に刺さった勢いで中の毒液を高木の血中に流し込んだ。  高木は身体中に染み込んでいく毒にもがきにもがいた。そして、息絶えた。  そのトイレでの一部始終を外から見ていた黒嶋は、死んだのを確かめるてから、個室に入る。  手袋をして急いで注射器と発射機を袋に入れて、高木のポケットを探り、手帳を引っ張り出した。  警察に手帳を見られたら、誰に会っていたかが分るからだ。  袋と手帳をポケットに入れてから、トイレを出て店を畳んで帰った。  黒嶋が片付けを終えてトイレを出て行った後、藤原がトイレに入った。  すると、目の前にあれほど殺してやろうと思った奴がいる。  殺してくれた者に感謝し、死体を刺し、喉を抉った。  気は済んだが、既に良心が罪を咎め始めていた。  一週間後、藤原は自首し、次の日には私達によって真犯人が捕らえられた。
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