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というわけだ。そんな話でまたその夜も飲み明かした。
そして、またしても朝、小柴に叩き起こされ、痛めた腰を伸ばして玄関を開けた。
「近所迷惑だよ。何度言ったら分るんだ」
リビングから朝長の唸り声が聞こえて来る。
「真実が解ったんだ、文句言うなよ。俺にも酒だ。やっと忙しいのから解放された」
小柴は、私が注いだウィスキーを一口飲んで、革張りの椅子に深く腰掛けた。
朝長は、とぐろを巻いた蛇が鎌首をもたげるように、体操座りの膝の間から頭をもたげた。
私は、ウィスキーを自分のグラスに注いで、小柴が話す『真実』を頭の中に記憶することにした。
小柴の話は一時間に渡ったが、朝長が話したのと同じであったかどうかは、語る必要もあるまい。
追記 小柴の話によって、明らかになったことが一つあったので記載する。
土産屋の店主黒嶋が、何故被害者を殺したのか。
話によると黒嶋は、高木に以前勤めていた会社の仕事の粗を話してしまった。
それが公になって、上司に高木に話した事がバレたのでクビになったそうだ。
それ以来、黒嶋は高木に復讐する時期を待っていた。
上手いタイミングが掴めず駄目かと思っていた頃、上手く向こうから接触してきた。
なので、すぐに戦略をねって計画的に殺したそうだ。
因みに藤原とは何の関係も無かったということだ。
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