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野々村病院と言うのは母が糖尿治療に通っていた個人の内科病院。
僕は多分、顔面蒼白になってたにちがいない。
バイト先とその病院とは目と鼻の先だが・・そこまでの車を運転した記憶が飛んでいる。
病院に着くと母は僕にも気づかず苦しみ全身を痙攣させていた。
こんな母親の姿を見て平気な息子など世にいるはずがない。
「3時過ぎに心臓に痛み感じてしばらく息子さんの貴方が帰宅されるまでと我慢されてたそうですが、どうしようもなくなって近所のお友達に電話されてその方のお車でここまで来られたのですが、すいませんが、この状態では当院では処置しかねますので、近くの総合病院に転院願おうと先ほど救急車を呼びました」
3時過ぎ・・落雷で一瞬、停電になった時間だ。
その影響はあったのどうか・・、僕はどうすることもできずに母を見ていた。
その時、僕の肩にそっと置かれた手があった。
名前も思い出せないくらいの人ではあったが、そこに勤務しているナースは中学時代の同級生だった。その手は「しっかり」と言ってくれてるようだった。
そして、救急に来た消防署員のひとりもまた同級生の島田だった。
島田は「大変だな、けどがんばれ」と言うような目線を僕にくれた。
母は救急車で総合病院の緊急処置室に運ばれた。-->
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